空き家の処分にはどれくらい費用がかかる?処分方法や費用が高くなるポイントなどについて紹介
2025.03.02

「田舎の家を相続した」「誰も住まない空き家を所有している」など、空き家を持て余している方も多いと思います。しかし住まない空き家はできるだけ早く処分するのがおすすめです。では空き家を処分するのにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。空き家の処分にかかる費用や処分方法などについて紹介します。
目次
空き家を売却する場合にかかる費用

空き家の処分方法は、そのまま空き家を売却するか更地にして売却するかの二つの方法が考えられます。最も一般的な処分方法は、空き家をそのまま売却する方法です。
しかし売却にかかる費用についても把握しておかないと、予定外の出費が重なり、得られる利益が少なくなってしまうこともあります。空き家の売却に伴い必要になる費用について説明します。
家財道具の処分費用
一般的に空き家の売却時には、家の中にある家財道具は処分しておく必要があります。家電や家具などの家財道具をまとめて処分したい場合には、廃品回収会社に依頼するのが簡単です。2トントラックなら2〜5万程度で依頼可能です。
またはネットオークションやフリマサイトなどで売却したり、家電であれば買取店に持ち込んだりすることで処分費用を節約できます。
ハウスクリーニング・リフォーム費用
売却したい家の状態次第では、ハウスクリーニングやリフォームが必要かもしれません。田舎の空き家は長期間放置されていることが多く、汚れたり傷んだりして価値が下がっているかもしれません。
ハウスクリーニングやリフォームをすることで、下がった価値を高めることが可能です。ハウスクリーニングの費用は作業面積によっても変動しますが、5万〜20万円程度です。家のリフォームは費用が高額になります。本当にリフォームが必要かどうか、不動産会社と相談しながら判断していきましょう。
不動産会社に依頼する場合の費用
不動産会社に依頼して空き家を売却する場合、仲介手数料が必ず発生します。仲介手数料は物件の価格に応じて変動し、ケースによって異なるので注意しましょう。
売却代金 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円未満の場合 | 5%以内 |
200万円以上400万円未満の場合 | 4%+2万円以内 |
400万円以上の場合 | 3%+6万円以内 |
他にも売買契約書に添付するための収入印紙代も必要です。空き家の査定自体は無料で行なってくれるので、複数の不動産会社に依頼し、査定内容を比較して信頼できる会社を選んでください。
更地にして売却する場合

空き家の処分方法には建物を解体し、更地にして売却する方法があります。空き家の解体費用は基本的に相続者・所有者が支払います。実際に取り壊しが必要かどうかは査定を依頼した不動産会社と相談すると良いでしょう。
構造 | 坪単価 | 30坪の場合 |
---|---|---|
木造 | 3〜5万円 | 120万〜150万円 |
鉄骨造 | 5〜7万円 | 150万〜210万円 |
鉄筋コンクリート造 | 6〜8万円 | 180万〜240万円 |
解体費用は取り壊す建物の状態や周りの環境などによっても変動してきます。詳しい金額を知りたい場合は解体業者に見積もりを依頼してください。
更地にすると固定資産税が高くなる
建物を解体して更地にすると、固定資産税が高くなることがあるので注意が必要です。「住宅用地特例」という減税制度が適応されないため、固定資産税が最大で6倍になってしまいます。
固定資産税は1月1日の時点で土地や建物を所有している人に課税されるので、いつ解体するのかよく検討してから依頼しましょう。
建物の解体費用が高くなる理由
建物の解体費用は、周辺の環境や建物の構造などで変わります。さらに、以下のようなケースは解体費用が高くなってしまうことも。費用が高くなってしまう理由を解説します。
災害などで廃材が散乱している場合

地震などの自然災害で建物が破損・倒壊した場合、解体費用が高くなります。災害で倒壊すると、廃材が周りに飛散することがあります。廃材は分別して処理する必要があり、回収や分別により労力がかかるので、解体費用が高くなりやすいのです。
自分で廃材の回収・処分して費用を抑えることも可能ですが、破損した廃材は鋭利なものも多く、怪我のリスクが高いので注意が必要です。
火災で焼けた建物の場合

火災で建物が焼けてしまった場合、解体作業中に建物が倒壊するリスクが高くなっています。そのため慎重に作業するため時間がかかり、通常の解体と比べ費用が上がってしまいます。
自治体によっては、火災による廃棄物を割安で引き取ってくれる減免制度があるので、該当する場合には自治体に問い合わせてみましょう。
道路が狭いなど状況が悪い場合
一般的に建物の解体工事は、ショベルカーなどの重機で取り壊します。建物までの道路が狭く重機が入らない場合、手作業で建物を取り壊すことになります。またダンプカーが入れない場所だと廃棄物などを手で運ぶので、人件費がかさんでしまいます。
また道路の使用許可を取得したり、道路にトラックを止める場合は警備員を配置したりする必要があり、より費用がかかってきます。
アスベストが使用されている場合

古い建物にはアスベスト(石綿)が使用されていることがあります。アスベストは健康被害を引き起こすリスクがあり、専門的な方法によって処理を行う必要があるため、普通の解体工事より費用がかかります。
木造住宅よりも鉄筋コンクリート造の場合に使用されていることが多いので、解体作業前に調査が必要です。アスベスト除去に対して補助金制度を設けている自治体もあるので、一度確認してみましょう。
空き家の解体費用を抑えるポイント

空き家を処分するための解体費用を抑えたい場合、解体する時期や依頼する会社の場所に気をつけると良いでしょう。解体費用を抑えるポイントを3つ紹介します。
①解体を依頼する時期を選ぶ
梅雨や台風、猛暑や降雪が多い時期は解体費用が高くなっているので、解体の依頼を避けた方が良いでしょう。天候が良くない時期は工事が捗らず、工期が長くなってしまうこともあるため、費用が高くなる要因になります。そのため工期の日数で費用が変わらない契約を交わすケースもあります。
②解体現場に近い解体業者に依頼する
解体現場と依頼した解体業者が近ければそれだけ交通費と使用時間を抑えられるので、現場と距離の近い業者に依頼するのも一つの方法です。ただし現場に近い解体業者の質が良いとは限らないので、複数の解体業者に見積もりを取り、しっかりと比較してから依頼するのがおすすめです。
③解体業者の閑散期に依頼する
解体業者の繁忙期は12月〜3月とされています。この時期の工事費用は高めに設定されているので、閑散期となる4月以降に依頼するのがおすすめです。
家の処分に関する助成金について

自治体によっては、空き家や古い家を処分する際に助成金や補助金を設けています。一般的に、解体費用の1/5〜1/3かつ上限が50万円ほどとされています。自治体によって支給額や申請条件も変わるので、条件を満たしているか問い合わせてみてください。
助成金を申請する自治体は、あなたが住んでいる地域ではなく、空き家がある地域の自治体です。
遠方に住んでいて定期的に空き家の管理ができない場合、月99円~空き家を管理してくれるサービスもあるので活用を検討してみても良いでしょう。
空き家の処分費用を把握し、早めに処分するために準備をはじめよう

空き家はそのまま売却、もしくは建物を解体して更地にして処分ができます。しかし売却の前には家の中のものの整理や清掃が必要ですし、建物を解体する場合には、条件によっては解体にかなりの費用がかかってしまうこともあります。
売却にかかる費用を理解し、どのようにして売却するのが良いのかしっかりと確認しましょう。空き家を早めに処分できるように準備を進めてください。
監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一
弁護士
1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。
