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相続登記費用は安くできる?自分でやる場合と司法書士に依頼する場合を解説

2024.12.15

相続登記にかかる費用は、工夫次第で安くできます。ただし、「安くすること」だけを考えて決めるのは危険です。

この記事では、相続登記を自分で行なう場合と司法書士に依頼する場合でかかる費用を解説し、安くする方法を紹介していきます。自分で行う場合と司法書士に依頼する場合の注意点を理解し、どちらの手段を取るか検討しましょう。

相続登記にかかる費用は安くできる

相続登記にかかる費用は、自分で手続きをしたり、司法書士への依頼を工夫したりすることで安くできます。相続には登記以外にも費用がかかるため、できるだけ費用はおさえたいところ。

しかし、各種書類の取得費用や登録免許税などの最低限かかる費用はあります。まずは、相続登記を自分で行う場合と司法書士に依頼する場合に分けて費用の相場を確認しましょう。

相続登記費用の相場【自分で行う場合】

相続登記を自分で行う場合、費用の相場は数万〜10万円前後です。かかる費用は、必要書類の取得費用・登録免許税・その他の費用の3つに分けられます。

<費用相場の一覧表>

費用項目 費用相場
必要書類の取得費用 2,000円前後
登録免許税 不動産の固定資産税評価額が2,000万円の場合:8万円
その他の費用 郵送費:84〜390円
その他、別途交通費

必要書類の取得費用

相続登記にはいくつかの必要書類があり、全て揃えると2,000円前後かかります。各書類の取得費用は次のとおりです。

必要書類 取得費用
戸籍謄本・除籍謄本 450〜750円/1通
住民票・住民票除票 200〜300円/1通
印鑑証明書 200〜300円/1通
固定資産評価証明書 200〜400円
登記事項証明書※ 480〜600円

※必須ではないが、あると正確な不動産情報がわかるため便利

書類の取得費用は自治体や取得方法によって異なりますが、遠方の自治体から取り寄せる場合は郵送費などが別途かかることも。郵送費についてはこのあと詳しく解説します。

なお、書類の取得費用を抑えるには、マイナンバーカードを利用したコンビニ交付サービスを利用するのがおすすめです。

登録免許税

登録免許税は、法務局へ登記申請をする際に必ず支払わなければならない税金です。固定資産税評価額に応じて税額が変動し、以下の計算式で求められます。

登録免許税額=不動産の固定資産税評価額×0.4%

例えば、固定資産税評価額が2,000万円であれば、登録免許税額は8万円です。なお、登録免許税額を算出する際には、以下の点に注意しましょう。

・固定資産税評価額:1,000円未満切り捨て
・登録免許税額:算出した金額から100円未満切り捨て

また、固定資産税評価額は以下の書類から確認できます。

・固定資産税評価証明書
・評価通知書
・固定資産税課税明細書

その他の費用

前述した費用のほか、交通費や郵送費などが発生するケースもあります。例えば、被相続人や他の相続人が遠方に住んでいる場合は、取得しに行くための交通費が発生するでしょう。また、郵送で取得する場合でも、書類の取得申請と返送にかかる費用は自己負担です。

もちろん、オンラインで対応することも可能ですが、書類を郵送する必要があるため費用がかかります。

相続登記費用の相場【司法書士へ依頼する場合】

相続登記を司法書士へ依頼する場合、費用の相場は数万〜25万円前後です。かかる費用は、必要書類の取得費用・登録免許税・司法書士報酬の3つに分けられます。

<費用相場の一覧表>

費用項目 費用相場
必要書類の取得費用 2,000円前後
登録免許税 不動産の固定資産税評価額が2,000万円の場合:8万円
司法書士報酬 5〜15万円

必要書類の取得費用と登録免許税は、自分で行う場合と同様です。併せて、司法書士報酬がかかります。司法書士報酬に決まりはありませんが、相場は5〜15万円です。ただし、不動産や相続人の数によって変動するため、この限りではありません。

なお、戸籍謄本の取得や遺産分割協議書の作成には、別途費用が発生する場合もあります。司法書士に依頼を検討する際は、先に見積もりを出してもらうのが安心です。

相続登記費用を安くする方法3つ

相続登記にかかる費用を安くする方法は次の3つです。

・自分で相続登記の手続きをする
・他の相続人にも登記費用を負担してもらう
・司法書士への依頼方法を工夫する

それぞれの方法について詳しく解説していきます。

自分で相続登記の手続きをする

相続登記の費用を安くする方法の一つは、自分で手続きを済ませることです。前述のとおり、自分で相続登記をすると数万円〜十数万円ほど安くなります。

ただし、自分で手続きをするのは、ハードルが高いと感じるかもしれません。

一人での手続きが不安な方は、法務局に相談してみるとよいでしょう。書類の書き方や必要書類について相談できるほか、内容の確認もしてもらえるため安心できます。

他の相続人にも登記費用を負担してもらう

他の相続人にも登記費用を負担してもらうことで、相続登記の費用を安くできます。一般的には、不動産を取得する相続人が費用を負担しますが、法律で定められているわけではありません。

例えば、以下のようなケースの場合、自分が住まないのに相続することもあります。

・相続人全員で不動産を残すと決めた場合
・自分以外の人が住むが、次の相続に備えて自分が相続した場合

この場合、費用負担に関して他の相続人の協力を仰げるでしょう。

司法書士への依頼方法を工夫する

自分での手続きが難しい場合は、司法書士へ依頼することになるでしょう。工夫次第では、登記費用を安くできます。

1.相続登記に関わる手続きをまとめて依頼する
相続登記をする場合、その他にも司法書士に依頼する場面があるため、まとめて依頼することで費用の交渉がしやすくなります。

2.なるべく報酬額が安いところを選ぶ
司法書士を選ぶ際は、複数の事務所から相見積もりをして比較検討することが大切です。比較することで相場との差がわかるため、適切に判断できます。

ただし、費用だけで決めるのは危険なため、何をどこまで対応してもらえるのか確認が必要です。

3.部分的に依頼する
自分でできるところは自分で行い、難しい手続きだけ依頼するのも一つです。

相続登記費用を安くするときの注意点

相続登記費用を安くするとき、司法書士を費用の安さで選ばないことや、自分で手続きをするには時間がかかることを心得ておきましょう。

また、登記を間違えた場合は修正にさらに登記がいること、手続き期限をすぎると過料が発生することにも注意が必要です。

司法書士を費用の安さで選ばない

前述のとおり、相見積もりで安い司法書士を見つけられますが、安さだけで選ぶのは危険です。基本料金が安いだけで、不動産価格や個数による加算や、関連書類の作成費用をはじめとする追加費用がかかる場合があります。

安さで決める前に、追加費用がかかるかどうかも事前に確認しましょう。

自分で手続きをするには時間がかかる

相続登記の手続きは自分でできるとはいえ、その内容は法律で細かく定められているため、簡単な手続きとはいえません。そのため、時間と労力がかかります。

また、相続自体が複雑であるため、特殊なケースの場合は専門家に頼るほうがよいでしょう。住栄都市サービスでは専門家がいるため、相談に乗ることが可能です。相談を検討したい方は、ぜひお問い合わせください。
住栄都市サービス

間違えた登記の修正には登記が必要になる

自分で相続登記を行い、間違えていたことが登記後にわかった場合は、再度登記の手続きが必要になります。もう一度労力がかかるだけでなく費用も発生するため、誤った登記は避けたいところ。

特に、共同名義の不動産や共同名義での相続など、複雑な登記や特殊なケースでは、専門家に任せたほうが安全です。

相続登記の手続き期限を過ぎると過料がかかる

2024年4月1日に、相続によって取得した不動産の相続登記が義務化されたため、期限を過ぎると10万円以下の過料が発生します。定められた期限は以下のとおりです。

<期限>
・相続によって不動産を取得したことを知ってから3年以内
・遺産分割協議によって不動産を取得する場合、遺産分割協議の成立日から3年以内

なお、2024年4月以前に相続していたとしても、相続登記がなされていない場合は義務化の対象となります。

2025年3月31日まで土地の相続登記の登録免許税が0円になる場合がある

土地の所有権の移転登記について、2025年3月31日まで以下のような免税措置が受けられます。

・相続により土地を取得した方が、相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置
・不動産の価格が100万円以下の土地に係る登録免許税の免税措置

該当する可能性がある場合は、法務局のホームページを併せてご確認ください。
相続登記の登録免許税の免税措置について

相続登記の費用は工夫次第で安くできる

相続登記の費用は、自分で手続きをしたり、他の相続人の協力を仰いだりすることで安くできます。ただし、自分でやるには労力と時間がかかり、複雑なケースでは間違った登記につながる可能性もあるでしょう。

手続きに不安がある方は、司法書士へ依頼するのも一つです。まずは、専門家がいる住栄都市サービスまでぜひご相談ください。

監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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