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不動産の相続税はいくら?計算方法と使える控除・特例について解説

2024.12.13

親名義の家、つまり実家の土地や建物といった不動産を相続すると、相続税が発生します。相続は頻繁に発生するものではないので、相続税に関していまいちピンとこない人も多いのではないでしょうか。

本記事では不動産の相続税について、計算方法と軽減できる控除・特例について解説します。

不動産の相続時に発生する税金とは

土地や一戸建て、マンションといった不動産を相続する際は、相続税と登録免許税が発生します。それぞれ、どんな税金なのか見ていきましょう。

1. 相続税

相続税とは、財産を相続したときに生じる税金のこと。対象となる主な財産は次の通りです。

  • ・現金、預貯金
  • ・土地、建物などの不動産
  • ・株式、債券などの有価証券
  • ・死亡退職金
  • ・宝石
  • ・書画骨董

なお、上記のような財産を相続しても、相続税かからないケースもあります。相続税が発生するのは、相続したプラスの財産から、マイナスの財産や葬式費用などを引いた後の額が、基礎控除額を超えた場合のみです。

国税庁の「令和4年分 相続税の申告事績の概要(※)」を見てみると、課税対象となったのは全体の9.6%に留まっていて、多くの家庭では相続税が発生していないことが分かります。

※参照:国税庁「令和4年分 相続税の申告事績の概要」

2. 登録免許税

登録免許税とは、不動産の登記情報を変更する際に発生する税金のことです。税率は固定資産税評価額の0.4%で、次の計算式で税額を算出できます。

【登録免許税=不動産の固定資産税評価額×0.4%】

固定資産税評価額は、市区町村から毎年4月頃に送付される「固定資産税課税明細」で確認可能です。

なお、相続登記は2024年4月1日から義務化されました。相続人は、相続によって不動産を取得した事実を知った日から3年以内に、相続登記の申請をしなくてはいけません。

相続人があまりに多く人数の把握に時間がかかるなど、何か正当な理由がない限り、期間内に申請しないと違反とみなされ、10万円以下の過料の適用対象となるので注意が必要です。

不動産を含めた相続税の計算方法

不動産を含む財産の相続税は、次の5ステップで計算するのが一般的です。基本的な流れと計算方法を解説します。

1. 課税対象となる遺産総額を算出する

相続税の課税対象となる遺産総額は、被相続人のすべての財産を用いて算出します。

【遺産総額=プラスの財産-(マイナスの財産+非課税財産)】

プラスの財産 マイナスの財産 非課税財産
  • ・現金
  • ・預貯金
  • ・不動産
  • ・株式
  • ・みなし相続財産
    (死亡保険金、死亡退職金)など
  • ・借金
  • ・未払金
  • ・買掛金など
  • ・葬儀費用
  • ・仏具
  • ・墓石の購入費用など

ここでは、以下の条件で相続税を計算していきます。

  • ・相続財産(プラスの財産):8,000万円
  • ・債務(マイナスの財産):500万円
  • ・非課税財産:200万円
  • ・相続人:3人(配偶者、長男、次男)

【遺産総額:8,000万円-(500万円+200万円)=7,300万円】

2. 遺産総額から基礎控除額を差し引く

遺産総額の次は、以下の計算式で基礎控除額を算出します。

【基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数】

今回の計算条件では相続人が3人ですので、以下のように当てはめます。

【基礎控除額:3,000万円+600万円×3=4,800万円】

そして、先ほどの遺産総額から基礎控除額を差し引くことで、相続税の課税対象額を算出します。

【課税対象額:7,300万円-4,800万円=2,500万円】

このとき、課税対象額が0円以下であれば相続税は発生しません。

3. 法定相続分に応ずる取得金額を算出する

相続税の課税対象額が分かったら、次は「法定相続分」を用いて相続人の取得金額を算出します。

法定相続分とは、相続人が2人以上いる場合の相続割合のことで、民法によって以下のように定められています。

配偶者と子ども
  • ・配偶者1/2
  • ・子ども(2人以上のときは全員で)1/2
配偶者と直系尊属
  • ・配偶者2/3
  • ・直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3
配偶者と兄弟姉妹
  • ・配偶者3/4
  • ・直系尊属(2人以上のときは全員で)1/4

※参照:国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」

今回の計算例に当てはめると以下のようになります。

  • ・相続税の課税対象額:2,500万円
  • ・法定相続人:3人(配偶者、長男、次男)
  • ・法定相続分:配偶者1/2、長男1/4、次男1/4

<法定相続分に応ずる取得金額>

  • ・配偶者2,500万円×1/2=1,250万円
  • ・長男2,500万円×1/4=625万円
  • ・次男2,500万円×1/4=625万円

4. 相続税の総額を算出する

次は、相続人ごとの「仮の相続税額」を算出し、それを基に相続税の総額を計算していきます。

<仮の相続税額>
手前で算出した「法定相続分に応ずる取得金額」に、以下の「相続税の速算表」の税率と控除額を適用させます。

<相続税の速算表>

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

【仮の相続税額=法定相続分に応ずる取得金額×税率-控除額】

<計算例>

  • ・配偶者:1,250万円×15%-50万円=137万5,000円
  • ・長男:625万円×10%=62万5,000円
  • ・次男:625万円×10%=62万5,000円

次に、相続税の総額を算出するため、各相続人の「仮の相続税額」を足していきます。

【相続税の総額:137万5,000円+62万5,000円+62万5,000円=262万5,000円】

5. 相続税の総額を相続割合に応じて按分する

各相続人が納めるべき最終的な相続税額を算出するため、総額をそれぞれの相続割合に応じて按分(あんぶん)します。

今回の計算条件では、以下のような結果になります。

<計算例>

  • ・相続税の総額:262万5,000円
  • ・実際の相続分:配偶者1/2、長男1/4、次男1/4
  • ・配偶者の相続税額:262万5,000円×1/2=131万2,500円
  • ・長男の相続税額:262万5,000円×1/4=65万6,250円
  • ・次男の相続税額:262万5,000円×1/4=65万6,250円

相続した不動産の評価額の計算方法

遺産の総額を出すには不動産の評価額を計算する必要があります。このとき、土地と建物は別で計算します。それぞれの計算方法を押さえておきましょう。

土地

土地の相続税評価額は「路線価」または「倍率方式」を用いることで計算が可能です。基本的には路線価を基に計算しますが、路線価が存在しない土地では倍率方式を用います。

<路線価方式>
路線価とは、道路に面する宅地の1平方メートルあたりの価額で、金額は国税庁が定めています。国税庁のホームページ内「路線価図・評価倍率表」に掲載されているので、相続した土地を確認してみましょう。

路線価方式による土地の相続税評価額は、次の計算式で算出します。

【路線価×奥行価格補正率×土地面積】

例えば路線価が36万円、奥行価格補正率が1.0、面積が250平方メートルの土地なら、土地の相続税評価額は9,000万円となります。

<倍率方式>
路線価の設定がなく、倍率方式で算出する場合は以下の2点を用いて計算します。

把握する内容 確認方法
固定資産税評価額 市区町村から送付される「固定資産税課税明細」
倍率 国税庁ホームページの「路線価図・評価倍率表」

倍率方式を用いた計算式は次の通りです。

【固定資産税評価額×倍率】

例えば、固定資産税評価額が2,000万円で倍率が0.8なら、土地評価額は1,600万円となります。

建物

建物の相続税評価額は、固定資産税評価額が反映されるため計算は必要ありません。これは戸建て・マンションどちらも共通です。

例えば固定資産税課税明細に「3,000万円」と記載されていれば、建物の相続税評価額は3,000万円ということです。

不動産の相続税対策に活用できる控除・特例

不動産の相続時、基礎控除額を超えると相続税が発生しますが、以下の控除や特例を使うと税額を軽減できます。どんな控除・特例があるのか、概要を解説します。

小規模宅地等の特例

被相続人本人、もしくは被相続人と生計を共にしていた場合は、相続した土地の評価額を最大80%も減額できる制度です。適用するには土地の種類や面積など、さまざまな条件があります。

※参照:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

配偶者の税額の軽減

被相続人の配偶者限定で、1億6,000万円、または法定相続分相当額までは相続税の課税対象から外れる制度です。適用するには申告が必要なので、利用する際は忘れないようにしましょう。

※参照:国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」

贈与税額控除

被相続人が生きている間(相続開始前の3年以内)に財産の贈与を受けていて、贈与税を納付している場合は、贈与された分の財産は相続税の課税対象外になる制度です。贈与税と相続税の二重払いをなくすために設けられています。

※参照:国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」

未成年者控除

相続人が以下の条件を満たす未成年者の場合、「税額から控除される金額=(18歳になるまでの年数)×10万円」の額を相続税から差し引けます。

<条件>

  1. 1. 相続した時点で日本国内に住所があること
  2. 2. 相続人が18歳未満の未成年者であること
  3. 3. 法定相続人であること

※参照:国税庁「No.4164 未成年者の税額控除」

障害者控除

相続人が85歳未満の障害者の場合は、次の額を相続税から差し引ける制度です。

  • ・一般障害者:(85歳になるまでの年数)×10万円
  • ・特別障害者:(85歳になるまでの年数)×20万円

※参照:国税庁「No.4167 障害者の税額控除」

このように、不動産の相続税対策に活用できる控除・特例は複数ありますが、どの制度もいくつかの条件があるため、相続時は税理士などの専門家に依頼するのがおすすめです。

不動産や相続税に関する疑問はプロに相談を

不動産を相続する場合、基礎控除額を超えると相続税が発生します。土地や建物の評価額を算出して計算式に当てはめると、相続税の概算を把握できます。

しかし、税金の計算は専門知識が必要になる場面が多いもの。また、不動産を相続した方が良いのか、相続後はどう活用するべきか悩むこともあるでしょう。

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監修

佐々木総合法律事務所/弁護士

佐々木 秀一

弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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